神殺しのクロノスタシスⅣ
「さ〜羽久!今日のおやつはフォンダンショコラだよ!」

知ってるよ。
 
散々歌ってたじゃん。

「今日のは美味しいよ〜!フォンダンショコラで評判のお店で買ってきたんだ〜!えへへ」

気色悪い。

「たくさん買ってきたからね。イレースちゃん達にも食べさせてあげないとな〜!」

「イレースは食べないだろ…」

「多分この後書類を届けに来てくれるだろうから、そのときにあげよう!」

話聞けよ。

「あと、ナジュ君と天音君にもあげてー、それから生徒達にも、」

と、シルナが言いかけたそのとき。

学院長室の扉が、コンコンとノックされた。

お?噂をすればイレースか?

しかし、やって来たのは別の人物だった。

「学院長先生〜」

「こんにちは〜。お菓子もらいに来ました〜」

「お菓子くださ〜い」

六年生の女子生徒が、三人。

いつもの、イーニシュフェルト恒例のアレだな。

放課後に、学院長室におやつをねだりに来る生徒がいる。

普通の学校だったら、信じられないことかもしれないが。

イーニシュフェルト魔導学院では。

「…!!君達!よく来たね!良いところに!今ね、今美味しいフォンダンショコラを買ってきてるんだよ。一緒に食べよ〜」

目を輝かせて生徒達を迎え入れる学院長、シルナ。

これだもんなぁ、うちは。

「フォンダンショコラだって〜」

「やった〜!私好き!」

「私も〜。来て良かった!」

生徒達は、喜々として大はしゃぎ。

良かったな。

「三人共〜、飲み物はホットチョコレートで良いかな?」

「はーい!」

ホットチョコレートを飲みながら、フォンダンショコラを食べる。

相変わらずのチョコ尽くしだ。

あんまり甘いものを食べ過ぎるのは良くない…とは思うが。

まぁ、毎日じゃないんだし、たまには良いか。

シルナは毎日だけど、こいつはもう色々と末期だから。

取り返しのつかない域に来てるから、どうしようもない。

「羽久が私に失礼なこと考えてる気がするけど…。生徒達が遊びに来てくれてるし、フォンダンショコラも楽しみだから、良いや!」

そうか。

現金な奴だな、お前は。
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