神殺しのクロノスタシスⅣ
全く天音さんと来たら、お人好しにも程がある。

僕は天音さんの大切な人を、たくさん奪ってしまったというのに。

それはそれ、これはこれと言わんばかりに、普通に僕に接してくれる。

お前なんか視界に入れたくもないくらい嫌いだ、とか。そう言われても仕方ないのに。

天音さんの心の中を覗いてみても、僕に対する憎しみなんてものはないのだ。

不思議なほど、心の中が綺麗。

この人は、本当にお人好しだ。

で、僕みたいな…自分で言うのもなんだけど、捻くれた性格の人間が。

何でこんな人と仲良しだとか、友達だとか言われるんだか。

不釣り合いにも程がある。

が、天音さんはそんなことも気にせず、当たり前のように僕と接する。

まるで、仲良しのお友達のように。

僕にとっては、あまりにも慣れない。違和感すら覚える。

天音さんも、よく僕みたいな人間と仲良くしようと思うよなぁ。

こんな死にたがりの、つまらない人間と。

とても不思議だ。

天音さんだったら、もっと良い友人をいくらでも作れるだろうに。

まぁ、そりゃ友達は何人いても困らないのかもしれないけど。

でも何だって、わざわざ僕を友人の一人に数えようとするのか。

余程の物好きとしか思えない。

それとも、僕がおかしいんだろうか。

僕が、難しいことを考え過ぎなんだろうか?

自分が誰かに…利用されることは無限にあっても。

誰かに好かれるとか、大事にされるとか。

どうしても、未だにそういう扱いをされるのは慣れない。

道具として扱われる方が、余程自然に受け入れられる。

分からない。

不死身の便利な道具じゃなくて。相手の心を読める便利な道具じゃなくて。

僕という人間が大事だと、そう思ってくれたのは、未だかつてリリスだけ。

だけ…だったのに。

他の人にもそんな風に思われるのは、何だかとても…不思議な気持ちがして、むず痒い。

どうしたら良いのか分からなくなる。







「…何で、そう思うの?」

「…何でと言われても…」

それは、だって…。

生まれたときから、ずっとそうだったからですよ。
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