神殺しのクロノスタシスⅣ
大人達が、不穏な空気で会議を終わらせ、各自自室に戻っていった音がしたので。

床下に潜んでいた僕達も、外に這い出た。

「…何だか難しー話だったなぁ」

『八千歳』は、床下から這い出て、埃を払いながら言った。

うん。

「僕もそう思った」

大人って、意外と難しいこともちゃんと考えてるんだね。

大変だなぁ。

「いっそ、その『サンクチュアリ』ってのを全員暗殺しちゃえば楽なのに。それは何でしないんだろ?」

「分かんない…」

僕も『八千歳』と同じことを思ったけど。

話し合いの場で、一度たりとも「よし、殺して解決しよう」という意見が出てこなかった辺り。

多分、殺して解決するのは、何か問題があるんだろう。

何せ、一番簡単でシンプルな解決法を、敢えて口にしないのだから。

大人達は、もっと複雑に事を考えているに違いない。

…何で駄目なんだろ?

不思議だなぁ。

…で、それはそれとして。

「僕達は、どうしよっか?」

「そーだなぁ…。羽久せんせー達が言ってた、聖魔騎士団の弱み?とか、『サンクチュアリ』の強み?っていうのが何なのか、探す?」

「そうだね。そうする以外、やることないかも」

「仕方ないなー」

「うん、しょうがないね」

じゃあ、また夜の街に繰り出そうか。
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