ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜4
 熊のアルデルンは、少し難しい顔をして「むむむ」とうなった。
 元々が険しい顔つきなので、そんな表情をすると獰猛極まりないのだが、さすがに同じ警備隊のメンバーは慣れているので「外ではその顔はやめろよ」「凶悪な犯人にだけ見せてよね」とさくっと突っ込んで済ませた。

「王都に住む者ならば、エリナのことをよく知っているから良いのだが……青弓亭の噂は王都から離れた場所でも流れ始めていて、わざわざ遠くから食べにやってくる、好奇心旺盛な貴族を含む客が増えてきている。その辺りを少し気をつけた方がいいと考えるのだが」

「そうだな、アルデルンの言う通りだ」

 クールな黒豹、ヴォラットも、腕を組んで同意した。

「コースト伯爵の所は問題ないんだがな」

「ああ。父はしっかりと情報統制を行って、青弓亭を軽んじるようなことがないようにしている。温泉プリンの発案者であるエリナに感謝しているし、ララベルの大切な友人でもあるから、間違ってもコースト領の者が青弓亭に迷惑をかけることはないだろう」

 彼の実家であるコースト領は、王都から馬車で半日の所にあるのだが、そこでもエリナと青弓亭の噂が流れているのだ。
 コースト伯爵家の者たちはエリナと面識があり、三男である息子からの正確な情報もあるため誤解はないのだが、それ以外の王都から離れた地に住む者はよく事情を知らない。
 たまたま平民の店が王族に気に入られた、くらいの認識しかないままやってくる貴族もいる。今のところはトラブルはないが、それが青弓亭に悪い影響を及ぼすことをルディをはじめとする警備隊員は心配しているのである。
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