ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります！〜４

「どうしてかと言われてもパパはお見通しだからとしか……いや」

　宰相は咳払いしてから「わたしは曲がりなりにもこの国の宰相ですからね。そのくらいのことを予測するのは簡単なのですよ」と言い直した。

「す、すごい予測力ですね。さすがは宰相のパパさんです」

　エリナは尊敬の気持ちがこもったキラキラの目をしたが、他の者たちは『違うよね、今、パパはなんでも知ってるぞって雰囲気を出してたよね』という気持ちを込めて、じとっと宰相を見た。

　だが、海千山千の切れ者宰相は王族の視線ごときでは動じない。彼は「それで、エリナさんが欲しい食材はどういったものですか？　この国では手に入りにくいものなのでしょうね」と続けた。

「ヴォラットさんのパパさんは、本当に鋭いですね！　その通りです、王都の市場では買えないんです。わたしが欲しいのは、海水からできるにがりというものなんですよ。だから、ルールーにお願いして海辺の街で作り、馬車で……場合によっては冷蔵馬車で運ぶ必要があるんです」

　一同は聞いたことのない言葉を聞いて、耳をひくひくさせた。

「『にがり』ですか。初めて耳にしますが……その『にがり』はどのように料理するのですか？」

「大豆から、豆腐を作るのに必要なんです」

「トーフ？」

　皆は『なんだろう、でもエリナが作ろうとするなら絶対に美味しいものだろう』という期待に満ちた表情をした。