陰謀のための結婚

 友恵さんは全てを話すつもりらしく、次々と考えてもみなかった事実を告げる。

「私の子どもは直輝だけ。これがなにを意味するかわかる?」

 問いかけられ、ひとつの可能性が頭をよぎる。

 違う。そうじゃない。

 浮かんでくる考えを打ち消しても、思いつくのはひとつだった。

 三矢は母と別れ、友恵さんと結婚しても尚、母を愛していたから?

 友恵さんに聞くのは憚られ、結局はなにも言えず、ただ力なく頭を左右に振る。

「きっと香澄さんも、当時の私と同じ想像をしたんじゃないかしら。でも途中で違うとわかったわ。それはそれで彼の優しさだったと思う」

「優しさ?」

 未だ三矢と結びつかない単語に、つい声が出た。友恵さんは微笑んでいる。

「優しさだと思うわ。ただし不器用な、ね」
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