陰謀のための結婚
「言われないよ。人に対して冷めてるとは、よく言われるかな。ほら、質問に質問で返すのはズルイよ」
チラリと視線を向けられ、肩を竦める。
「そうやって恥ずかしげもなく褒める人に、出会う機会がなかったので」
「香澄ちゃんを褒めていいのなら、いくらでも言える。女性は、すぐ聞くでしょ? 私のどこが好きって、そういうの……、いや、ごめん、失言」
なんとも言えない空気が流れて、居た堪れない。
沈黙が流れたあと、フッと智史さんは小さく笑った。
「俺、香澄ちゃんになら、「私のどこが好き?」って聞かれたいな」
思わぬ意見に咳き込んで抗議する。
「天地がひっくり返っても、言いませんから、安心してください」
「そうなの? 残念だなあ」
本当に残念そうに言われても、素直に受け止めたりしない。それでもどこかふわふわした気持ちになる。