キミは精神安定剤
しばらく南都と話していると、会話が途切れた。

周りには誰もいない。

ふいに南都の顔が近づいてきて、

くるっ!

椿季はキスかと思い、身構えたが、

「タッキー、椿季~、帰るよ~?」

離れたところから、朱寧から声を掛けられ、南都が椿季から離れた。

「あ。今、行く!」

椿季は平常心を保ちながら、朱寧に答えるが、心臓はバクバクと音を立てている。

え、今、キスしようとしてた…?
してたよね…?

南都は特に何も言わず、自転車を押しながら、椿季についてくる。

「じゃあ、帰ろうか」

翔太がそう言ったが、

「あれ、タッキー彼女は自転車ないの?」

不思議そうに椿季を見た。
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