キミは精神安定剤
「わたし、普段はスクールバスだから」

椿季が答えると、

「じゃあ、俺の自転車使えばいいよ」

翔太は椿季に自転車を貸してくれて、友だちと2人乗りしていた。

「あ~、足が痛い」

自転車で駅まで着く頃には、18時過ぎになっていた…。

「大丈夫?」

南都は普段から自転車だけあって、痛みを感じないようだ。

「だ…大丈夫」

椿季はひきつった笑みを浮かべる。

「あははっ!
マジで大丈夫?」

南都は笑いながら、椿季の髪の毛に触れる。

優しく髪の毛を撫でながら、南都は、

「あ。
もうすぐ実習だね。
俺で良かったらいつでも愚痴聞くからね」

椿季さえも忘れていた…と言うか、忘れたかった単語を言った。
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