もふもふ、はじめました。
至福の手触り
ふわふわぁ……私はその手触りを、両手で心行くまで堪能した。
例えるなら、なめらかなベルベットのような、マシュマロの表面のような。ふわふわもふもふ。
抱きついた腕に力を込めて、もっと近付くとすりすりと頬を押し付ける。極上の肌触り。
こんなに気持ち良いものがあるんだな。生きてて、そう、生きててよかった。
あれ? なんで生きてて良かったって思ったんだろ?
あ、そっか、私昨日失恋したんじゃなかったっけ。
うーん、と眉根を寄せながら考えてみる。そっか、仕事終わりに二年付き合った葵がいきなり別れようって言ってきて……死にたくなるくらいショックで……それで、それでどうしたんだっけ。
それに……この気持ち良いものなんだろう。
全身に感じるこのふわふわの気持ち良さ……私、もしかして服、着てない?
じわっと恐る恐る目を開いた。
目の前に広がるのは、真っ黒な毛皮。滑らかでとても美しい。カーテンは閉まっていて灯りもついていない部屋の中だけど、それでも間から漏れて差し込む日光に艶めいてとても綺麗だ。顔にあたる部分に目を滑らせれば、大きな黒猫の顔。
「……吉住課長?」
例えるなら、なめらかなベルベットのような、マシュマロの表面のような。ふわふわもふもふ。
抱きついた腕に力を込めて、もっと近付くとすりすりと頬を押し付ける。極上の肌触り。
こんなに気持ち良いものがあるんだな。生きてて、そう、生きててよかった。
あれ? なんで生きてて良かったって思ったんだろ?
あ、そっか、私昨日失恋したんじゃなかったっけ。
うーん、と眉根を寄せながら考えてみる。そっか、仕事終わりに二年付き合った葵がいきなり別れようって言ってきて……死にたくなるくらいショックで……それで、それでどうしたんだっけ。
それに……この気持ち良いものなんだろう。
全身に感じるこのふわふわの気持ち良さ……私、もしかして服、着てない?
じわっと恐る恐る目を開いた。
目の前に広がるのは、真っ黒な毛皮。滑らかでとても美しい。カーテンは閉まっていて灯りもついていない部屋の中だけど、それでも間から漏れて差し込む日光に艶めいてとても綺麗だ。顔にあたる部分に目を滑らせれば、大きな黒猫の顔。
「……吉住課長?」
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