もふもふ、はじめました。
「……思ったより、早かったかな」

「吉住課長……その、日向さんに何したんですか?」

 恐る恐る私は何度目かの質問をした。あの日以降も枝野さんは相変わらず爽やかだし、岸くんは何故か今まで以上に頑張ろうと張り切っている。

 吉住課長は度々私の部屋に泊まっては、朝早くに出て自分の家に帰って着替えてから出勤している。

 ただ共通して言えることは、三人ともこのことについて私に何も言わないし教えてくれない。

 何度か聞いたんだけど、その度にはぐらかされている。

 そして、肝心な日向物産との取引は既に再開していて、担当者は枝野さんだ。今までと変わりない。

 ……不気味なくらいに。

「そうだな、あまり君に聞かせたくはないんだが」

 吉住課長は何処か悩むように目を細めた。初めて、言ってくれそうな雰囲気を察知した私は逃さないように彼の太い腕を引いた。

「自分のことですよ? 私だって……気になります」

 口を尖らせた私に吉住課長は悪戯っぽく笑ってキスをしてくれた。
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