もふもふ、はじめました。
 まるで、モデルルームみたいに綺麗だ。

 廊下を辿って来た時、ドアがいくつかあったからきっと部屋も何部屋もあるんだろう。

 広い広いリビングに出て、一面いっぱいの大きな窓を見ると私は感嘆の声を漏らした。

 オレンジ色の夕焼けがすごくすごく綺麗で、気分が上がってしまったから。キッチンはアイランド式というのか。シンクやコンロが独立しているタイプでお金かかってるなーと、庶民の私は唸った。

 久しぶりの手料理に四苦八苦していると、チャイムが鳴った。

 吉住課長かな? いやでも、自分の部屋だし普通、そのまま入ってくるだろう。

 もしかしたら、宅配便か何かかな?

 モニターには何も映っていないけど、とりあえず応答ボタンを押す。

「はい」

『あんた、誰?』

 画面にパッと映ったのは、可愛らしい大きな耳を持った黒猫獣人の女の子だ。どことなく、吉住課長に似ているような気もする。

 もしかしたら、あの悪戯をしたという従姉妹の女の子だろうか。

「えっと……私、薫さんとお付き合いさせて頂いていて……」

 驚いた私は吉住課長との関係性を、彼女にそのまま言ってしまった。これが良い事なのか、悪い事なのか判断出来ない。
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