もふもふ、はじめました。
「薫。遊んでいるのも今の内って言われているんでしょ? 茂兄だって……」

 言い募ろうとする真由さんに、吉住課長は喉の奥から威嚇音を出した。

「真由。僕は、出て行けって言ったんだ。聞こえなかったのか?」

「……何よ、ふん。今のうちにせいぜい楽しんでおけば~?」

 捨て台詞を吐いた真由さんはここに来た時に持ってきていた大きなバッグを持って出て行ってしまう。

 ふうっと息をついて振り返った吉住課長は、何か言おうとして黙った。私の方向に手を伸ばそうとして、躊躇っている。

 私が何の言葉もなく、床にぽたぽたと涙を落として泣いていたから。
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