もふもふ、はじめました。
 私は戸惑った。

 そんな約束をして、若い彼の時間を無駄にする訳にはいかない。彼くらい性格の良い子なら。

 きっと、これからよりどりみどりでご縁があるはず。

「如月さんが泣いている時は、僕のところに来られるように。貴女が結婚するまでは、ずっと待ってます」

 失恋の匂い濃厚な片想いの相手に、どんな思いで彼がそれを言ったのか。

 それを思うとまた泣きたくなった。

 泣いて泣いて訳のわからなくなった私を、誘導して言いくるめるでもなく、言葉だけで。優しく包んでくれた人。

 また笑ってくれて、私はやっぱり泣いてしまった。
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