もふもふ、はじめました。
断れないやつ
「はい、東堂商事でございます」
不在の営業への電話だったので折り返しの旨、先方の電話番号を手早くメモを取る。
立ち上がると、隣の島にあるうちの営業部のエース級社員、枝野さんのパソコンにメモを貼り付ける。
ふうと一息ついた時、視線を感じて通路を挟んで横にある海外事業部へと目を向けた。
大きな黒い三角耳を頭にのせた吉住課長が私をじっと見ていた。そのまるい大きめの目には力が篭っている。ぞくりと背中を震わせると、彼の視線を避けるように給湯室へと向かった。
「おはよう、千世。なんか元気ないね」
同期の成沢絵里がマグカップにドリップコーヒーを淹れている。
「おはよ、絵里」
「週末デートだったんでしょ? どうだった?」
あのお店私も行ってみたかったんだよね~、と続ける絵里にこの土日はそれどころではなかった私はあっけらかんと言った。
「あ、別れたよ」
「は?」
不在の営業への電話だったので折り返しの旨、先方の電話番号を手早くメモを取る。
立ち上がると、隣の島にあるうちの営業部のエース級社員、枝野さんのパソコンにメモを貼り付ける。
ふうと一息ついた時、視線を感じて通路を挟んで横にある海外事業部へと目を向けた。
大きな黒い三角耳を頭にのせた吉住課長が私をじっと見ていた。そのまるい大きめの目には力が篭っている。ぞくりと背中を震わせると、彼の視線を避けるように給湯室へと向かった。
「おはよう、千世。なんか元気ないね」
同期の成沢絵里がマグカップにドリップコーヒーを淹れている。
「おはよ、絵里」
「週末デートだったんでしょ? どうだった?」
あのお店私も行ってみたかったんだよね~、と続ける絵里にこの土日はそれどころではなかった私はあっけらかんと言った。
「あ、別れたよ」
「は?」