もふもふ、はじめました。
 それもそうかと、私は熱いお茶をこくりと飲んだ。

「岸くん。良い子だよね……」

「もう、付き合っちゃえば?」

 絵里はもう冷えてしまったお茶を飲み干すと、私に向かって言った。

「そんな簡単に言うけど……」

「付き合ってみてから、考えたら良いじゃない。皆そうしているでしょ。千世は元彼くんもそうだけど。男女交際に夢見過ぎ」

「元彼は……まあ、そうね。なんて言うか……」

 もごもご話し出しそうになった私の言葉を遮って、絵里は言った。

「一回、岸としてみたら?」

「へ?」

 何を、だなんて真昼間の社食で聞ける話じゃない。絵里は真面目くさった顔でうんうんと頷いている。

「付き合うとなると、あっちの相性も重要だもんね。付き合ってみて、こんなはずじゃなかったってなりたくないじゃない? それに、獣人ってすごいって聞くし」

 我知らずこくり、と喉が鳴った。

「え? え? すごいって、すごいって」

「もちろん、あれの大きさもだし、持続力? 絶倫が多いって聞くよ。またどうだったか、詳細は良いからさらっとだけ教えてね」

 平気な顔して頬杖をつく絵里を前に私はただただ赤くなって、黙り込むしかなかった。
< 51 / 120 >

この作品をシェア

pagetop