腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

「やっぱり、いつものリク先生に会いたい」

 朝は変な感じに避けてしまったし……。

 ぽつりとつぶやいて、ワインを煽る。
 昨日からあまり食べてないせいか、頭がくらりと揺れた。

 何杯か飲んで、お手洗いに行って戻るとき、足がもつれそうになる。
 危ない、と壁に手をつけた時、そんな私をぱしりと受け止めてくれた人がいた。

「もも、大丈夫?」
「リク先生……!」

 目の前にはいつもの、リク先生の笑顔。

(どういうこと⁉)

 そう思って席まで戻ると、美奈さんがスマホ画面を私に見せ、

「さっき連絡来たからここだって返事したのよ。くるの、早かったわね」

「もも、連れて帰りますね。お代はこれで」
「ありがとう。ごちそうさま。十二分にあるから、もう一杯飲んで帰るわ」

 美奈さんが微笑む。
 私はというと、そのまま店の前に待っていたタクシーに乗せられ、リク先生とマンションまで帰ることになった。

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