腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

 店は今月ニューオープンした駅前の鉄板ダイニングだった。
 最初にワインで乾杯して一口飲むなり、

「李久くんと最後までしたんでしょ」
と美奈さんは言う。

「ぶっ……! ど、どうして⁉」

(まさか、先生が言った……⁉)

 慌てていると、美奈さんが苦笑する。

「どれだけ長い間もものこと見て来たと思ってるの。わかるわよ」
「さ、さすがです……」

 親戚だけど、家族で、親友で……
 美奈さんの存在は私にとってとても大きい。

 美奈さんは運ばれてきたお肉を一口食べると、おいしい! と言って私にも勧める。私もそれを一口食べると、お肉が口の中でとろけた。

「で、どうだった?」
「どうって……」
「李久くん、ベッドの中でも本当に優しそうだもんね。初めてのももも安心して任せられるわ」

 その言葉に咳き込む。
 次に入れたお肉を喉に詰まらせそうになった。

「あぁ、またこの子は! 大丈夫?」
「す、すみません」

(あれは優しかった、と言えるのだろうか)

 最初はいつものリク先生だったし、本当に優しくて少し痛かったけど夢みたいな時間だった。
 だけど続きは……悪夢だ。

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