腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

 2人で料理を作ってみれば、案外楽しかった。
 簡単なチャーハンだったけど、私一人で作る時より手早くおいしくできた。

 そういえば、二人で何かするってこと自体も、これまで少なかったことに気づく。

「先生、包丁とフライパン使うのうますぎですね」
「まぁ、一人も長かったし、簡単なものはね」

 先生はそう言って、微笑む。

 料理の途中も、泣きそうになった私を先生が気遣って色々と話してくれていたことにも気づいていた。
 気を遣われるたびに、私はまるで子どもだと思い知らされるようで辛くなった。

(結局、夫婦というより、親子? いや、師弟関係?)
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