腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

(リク先生になら、全部任せられる)

 そう思って私が目を瞑った時。
 突然、私のお腹が、ぐぅうううううううう! と豪快に鳴った。

 顔が違う意味で真っ赤に染まる。

「わぁぁあああああっ……! ご、ごめんなさいっ……! さ、サイアクぅ……!」

 おい、私のお腹!
 お前はなんてタイミングで鳴っているんだ!

 自分と自分のお腹に対して怒りに打ち震えていると、先生は優しく笑って、私の頭を撫でる。

「なにか簡単に作るよ」
「いえ、私がっ、作ります! 作りたいですっ!」
「じゃ、一緒に作ろうか」
「はいっ!」

 先生はふっと優しく微笑んでくれた。

(私はもう、自分で自分が情けないですぅうううう……)

 これが最初で最後のチャンスだったのかもしれないのに……。
 うりゅぅ、と勝手に涙がにじむ。

 そんな私を、先生は心配そうな目で見ていた。

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