腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

 そう言われて、思わずにやけそうになる。
 そう、リク先生は私の夫。

 半年前に結婚したばかりの私の夫なのだ。

 それでもこんなに顔を見ただけで嬉しくて仕方ないのは、私が先生を好きで好きで仕方ないから、の他に、もう一つ理由がある。

「顔見たの3日ぶりだから仕方ないです。写真撮って、もっと堪能したいくらいです」
「マジか」

 昨日、病院長と美奈さんにも話したが、私と先生の生活時間はことごとく合わない。
 3日どころか一週間顔を合わせないと言うのもざらだ。

 忙しいもんねぇ……と室長が苦笑した時、リク先生が私たちに気づいてこちらに歩いてきた。
 先生が一歩ずつ近づくにつれて、私の心臓はドキドキと大きな音を立ててしまう。
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