甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
「嬉しいよ。ようやく念願が叶った」
 乗り込んだタクシーの車内で、会社への電話を切った後、隣に座る彼はそう呟いた。

「何がですか?」
「植田さんがOKしてくれたこと。4年越しだからさ。諦めなくてよかったって思ってね」
「そんな……思ってもないこと、言わないでください」
「正真正銘の本心だよ」
「……嘘」

 わたしは横を向き、窓から外を眺めた。
 週末の夕方で道が混んでいて、なかなか先に進まない。

 通り沿いの明るいショーウインドウに、純白のウエディングドレスが飾られているのが、嫌でも目に入ってくる。

 そして、その店から出てきた、幸せオーラを周りに振りまいているカップルも……
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