甘い支配の始まり《マンガ原作賞優秀作品》





ゆっくりと角度を変えながら幾度か唇を重ね…何にも例えようのない柔らかな感触に浸る。もうこれ以外のものは唇とは呼べないかもしれない。

「頭…痛い?」

紫乃の唇に触れたままそっと聞く。

「…ぅぅん…だいじょ…」

俺の唇を撫でるかのように彼女がそう唇を動かすとペロペロペロッ…小さく唇をなぞるように舐める。ああ…甘いなんて言わない。紫乃だ…紫乃の味…そう思いながら、上唇の裏側浅くをチロチロッと舌で舐めると紫乃の味が濃くなる…粘膜を直接舐めたからな。これが俺の紫乃。

嫌がる素振りはないので彼女の歯列を割って舌を狭い口内へ侵入させた…ああ…同じ体温だな。

口内を、柔らかく大きく舐め、細部は舌を尖らせ小さく舐め味わう。紫乃が…ぅ…酸素を求め唇を開いた時には俺も唇を開き、俺から人工呼吸のように酸素を与える。俺だけを求めろ。酸素だって俺が与えてやる。

隅々を味わい…ぁ…上顎の中心より奥を丁寧に舐めると紫乃が呼吸ではない音を漏らす。ここ…好きか?さらに丁寧に…緩急をつけ上顎を舐め回す…ぁん…紫乃が俺を煽り始めた。
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