甘い支配の始まり《マンガ原作賞優秀作品》






「俺が紫乃に動かされたんだ」

そう言い彼女の鼻先にチュッとキスする。

「紫乃が俺を動かす…常にな…今もそう…」

紫乃自身がわかっていない魅力…わかっていないからこそ、自然な可愛らしさ、押しつけがましくない堅実さが次々に出てくるのだろう。

ペロッと鼻先を舐めると

「っ…これを私が壱にさせているっておかしくない?」
「紫乃に誘われてしてる…誰にも何にも…こんな風に舐めたい食べたいとは思わない。今までもこれからも」

首をすくめた紫乃が真っ赤になる。

「今の…赤くなるところあったか?」
「…だって…私だけって…」
「そんな当たり前のことで照れてんの?」
「照れてないよっ…幸せを感じてるの」
「二人で二人の幸せを作り続ける…そう言ったのを二人で実践中。俺たち優秀な婚約者だな、紫乃」
「うん…壱、ずっとずーっと…よろしくお願いします」

紫乃はそう言うと目礼するように視線を落とす。その頬を手のひらで包むと優しく甘い口づけを交わした。


[本編完結]
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