甘い支配の始まり《マンガ原作賞優秀作品》





都内某ホテル新婦控え室

「紫乃、私たちがここにいていいん?お母さんとかは…」
「式の前から一緒だったからいいの。披露宴は入場も壱とだから家族はもう会場に行ったんじゃないかな…東京までありがとうね」
「当たり前やん、おめでとう紫乃」
「ありがとう」
「めっちゃ綺麗やで、紫乃。私たちも会場で待ってるな」

9月に大阪で結婚式をした子は妊娠がわかり、妊娠初期の東京までの移動を断念したが、2人は来てくれた。2人と入れ違いに真麻ちゃんと夢唯さんが入って来る。

「紫乃ちゃん、おめでとう」
「ありがとう、真麻ちゃん」
「すごく綺麗な花嫁だ」
「真麻、誰がプロデュースしてると思ってるの?私がプロデュースして綺麗じゃないわけがないでしょ?紫乃ちゃんの素材がいいのはもちろんだけどね」
「ごもっとも」
「「「ふふっ」」」

このウェディングドレスも一度だけお色直しをするカラードレスも、夢唯さんがヘアスタイル、ジュエリー、ブーケまで私の意向を聞きながら準備して下さった。

「お兄ちゃんが司会して、夢唯さんが花嫁プロデュースして…ホテルのウェディングプランナーいらずだったの?」
「そうなの。まこちゃんが当日マイクを握るだけじゃなく披露宴プランを考えるって言ってくれたから…私も内容を知らないの」
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