甘い支配の始まり《マンガ原作賞優秀作品》





「紫乃は休みでいいからな。いってくる」

あれから私を散々翻弄した壱は私に布団を掛けてシャワーを浴び、着替えながら私に言うと布団を隙間ないようにきゅっきゅっと押さえて布団から出ている頭にキスをした。

布団を押さえる必要はないよ…さっき布団を掛けてもらってから1ミリも動けていないもの…

「…いってらっしゃい…」
「俺のために声を振り絞る紫乃も可愛らしい」

チュッ…

「炊飯だけもうセットしたから何も心配しないでゆっくり休んで」

チュッ…

素晴らしい旦那様ぶりだけど、出勤するはずの朝にこれってどうなのよ…今日27日はビルの清掃業者さんが各オフィス内の清掃をしてくれる。カフェは飲食店のため別の業者さんを定期的に頼んでおられるらしいが、2階から7階全てのオフィス清掃を年に1度オーナーの壱が手配する。もちろん共有部分の毎週の清掃もあるのだが各オフィス内は個々に任せてあり、年に1度オーナーからのプレゼント清掃らしい。だから今日からすでに休みに入ったオフィスの方も誰か一人は出て来てもらうことになる。

私は1時間ほどうとうとしてからゆっくりと起きると、ご飯の炊ける匂いを嗅ぎながら水を飲みバスルームへ向かった。
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