甘い支配の始まり《マンガ原作賞優秀作品》
シャワー後、時間はすでに12時前だ。壱はシリアルを食べた形跡があるけどもうお腹が減るだろう。炊き上がったご飯を見ると、夕食もと思ったのかたっぷりとある。
私は3種類のおにぎりを作って皿に並べたままラップをすると、7階のオフィスへ降りた。2階からと言っていたから7階はまだまだあとのはずだ。
「壱、ご飯ありがとう。おにぎり食べる?」
「ああ…紫乃、体は大丈夫か?」
すぐに立ち上がって私の元へ来る旦那様に
「おにぎり作るくらいには大丈夫…ふふっ」
と言いながらデスクを除菌シートで拭きお茶を準備する。
「私もお腹減った」
「俺も」
壱が手を洗っていると…ピンポーン…
「まだうちの清掃には早いよね?」
「嫌な予感しかしないから無視して食うか…」
「予感…誰だと思うの?わからないなぁ…」
「今日は一応出勤してオフィスだけ開けたらうちでサボろうと思っている奴」
「…もしかして…榊原さんと聖さん?」
「もしかしないと思うぞ。一人かもしれないが…無視だ」