雨上がりの景色を夢見て
「はい、せっかくのお誕生日なので…」

「ジャムとジュースもありがとう。実は、さっきちょっといただいたの。とっても美味しかったわ。ジャムは、明日の朝食のトーストで食べてみるわね」

飲んでもらえたことが嬉しくて、ほっと胸を撫で下ろす。

「今日はね、お昼にお寿司の出前を頼んでいるの。雛ちゃんの分もあるからね」

「ありがとうございます」

「ここ数年の誕生日は、結構出前でお寿司頼むことが多いんだ。あとは、お互いに好きな飲み物飲む感じかな」

高梨先生がそう付け加えて、なんとなく毎年どのようにお祝いしていたのかが把握できた。

「まだお昼まで時間あるし、ゆっくり休んでね。今お茶入れるわ」

夏奈さんがキッチンに行ったのを確認して、高梨先生が私に少し近づいた。

「夏奈、嬉しそうだ」

高梨先生の言葉に頷く。そして、そう言った高梨先生の夏奈さんの様子を伺う眼差しが、とても優しくて、私の心が温かくなるのを感じた。

「座ろう」

えっ…

そっと私の腰に手を回して、椅子を引いた高梨先生。触れられた場所が熱を帯び、少し心拍数が上がる。

さりげない仕草に、私の気持ちがついていかなくて、一つ一つの行動にドキドキしてしまう。

きっと、高梨先生にはなんてことない動作なんだろうけど、私にとっては少し刺激が強すぎる。




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