雨上がりの景色を夢見て
駐車場に止めて、サンダルから革靴へと履き替える。ゆっくりとドアを閉めて、目的の物を選びにお店に入った。

雛ちゃんが起きませんように。

そう心の中で願いながら、店内のガラスケースを見て回る。

「奥様にですか?」

「あっ、いえ…彼女に」

俺の答えに、店員さんは、いくつかの候補を出してくれた。











「ありがとうございました」

出口で紙袋を受け取って、車に戻る。まだ寝ている雛ちゃんを見て、ほっと胸を撫で下ろした。

紙袋を後部座席に置いて、俺もシートベルトをつける。

車を再び走らせて、雛ちゃんのマンションに向かった。











「雛ちゃん、着いたよ」

「…んっ…う…ん」

半分寝ぼけながら返事をする雛ちゃん。そっと頭を撫でて、もう一度声をかける。

「家に着いたよ」

「んっ…うん…ありがとう」

ゆっくりとシートベルトを外して、化粧を気にしながらも、眠い目を擦る。

「…すっかり寝ちゃって…ごめんなさい」

「ううん、疲れてたんだよ。気にしないで」


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