パイロットは仕立て屋を甘く溺愛する
「んっ……あ」
「紬希……紬希、もう少しだから」
 思わず紬希の瞳に涙が浮かんでいた。

「痛いか? 止める?」
 紬希は一生懸命に首を横に振る。
「や……めないでっ。違います、痛いんじゃないの」

 怖くても、不安でもどうしても今貴堂と繋がりたいこの気持ちを紬希はどうやって説明したらいいのか分からないけれど……たった一つだけ伝えられるとすれば、
「誠一郎さんだけですっ……誠一郎さんだから、あ……あぁっ」
 多分貴堂は察してくれたのだと思う。

 緩く腰を揺すって奥まで入ってきてくれたから。
 汗で濡れた紬希の額に、貴堂はキスをした。

 涙が零れそうな瞳にも。
「全部入ったよ。君の中、すごく気持ちいい」
 良かった……と紬希は安心する。

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