見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!
【第3章】

 目覚めた時、窓の外はカーテン越しでも明るくなっていた。
 気だるい頭で考えて、今の状況を思い出す。

 ……そうだ、昨日、結婚したんだった。

 身じろぎしようとするが、うまく動かせない。
 背後から抱きしめられているせいだと気づいて、頬に血が上る。

 思っていた以上に、稔くんの体は大きい。長い腕が私の肩に巻き付いて、背中はすっぽりと彼の胸に覆われている。

 昨夜、この人と──と思い出したらまた、顔が熱くなってくる。
 このままの状態でもし、彼が目を覚ましたら、どんな顔をしていいかわからない。

 細心の注意をはらって稔くんの抱擁から抜け出し、ベッドを降りる。
 マットレスをきしませた瞬間、彼が「……ん」と声を立てて寝返りを打ったのでびくついたけど、目を覚ます様子はなかった。
 ほっとして、床に放り出されていたネグリジェと下着を抱え、バスルームへ向かう。

 すでに昨日、式の前に荷物を運びこんである。その中から着替えや、普段使っている化粧品を取り出して、洗面台に置いた。
 それからようやく、シャワーを浴びる。有名ホテルの充実したアメニティを惜しみなく使わせてもらい、髪も体もふたたびピカピカにした。
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