幼なじみはエリート潜水士

 芝生を踏むと足が腫れるとか、適当に言って逃げてきた。

 でも、ついにコースデビューしなければいけない状況に追い込まれてる。


「ほかの女子社員さんじゃダメなんですかぁ~」


 すごく不満そうな態度と声で、わざと言ってやる。


「隣の部署の、佐藤君を見習いたまえ!」


 課長が大きな声で話すから、サトちゃんに聞こえたらしい。

 私に見える場所で、親指を突き立てながら頷いてる。


 サトちゃんみたいに、ミニスカートのゴルフウェアとニーソでプレイするなんて……

 取引相手さんは喜ぶかもしれないけど、私が同じことやって需要はあるのだろうか……


「ムリですね」


「なんだと、村本くん! ヤル気はあるのかっ!」


 フロアに響く大きな声で、顔を赤くしながら怒る課長。

 まるで仕事のヤル気を聞かれてるみたいだけど、本当はゴルフのことだ。

 周囲の社員が勘違いするようなことを、大声で叫ぶのは止めてほしい。


「よし、分かった……」



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