極上男子短編集

仲直りのキス

全力で走って校門前まで来ると生徒たちが続々と登校してきていた。


もうすぐホームルームが始まる時間になる。


清水くんがここまでゆっくり登校してきたことはないから、私までそわそわとした気持ちになってきてしまう。


やがて生徒たちの数は徐々に少なくなってきて、ホームルーム開始3分前を告げるチャイムが聞こえ始めた。


もうこれ以上は待てない。


教室に戻らないと……。


でも、清水くんはどうしたんだろう?


今日は休みだろうか。


もしかして私に会いたくないから休んだとか……?


嫌な想像が頭の中を支配し始めたときだった。


歩道の向こうから走ってくる男子生徒の姿が見えて、私は息を飲んだ。


遠くに居てもわかる。


きっと彼がどこにいても私にはわかってしまうと思う。
< 128 / 190 >

この作品をシェア

pagetop