極上男子短編集
知らない間に私はそこまで清水くんにのめり込んでしまっていたんだ。


「おはよう」


校門までやってきた清水くんに声をかけた。


額に汗を滲ませた清水くんは驚いた表情で立ち止まる。


「なんで、こんなところに?」


走ってきたせいで息が弾んでいる。


そのちょっとした変化を見ることができるだけで、私は至上の喜びを感じた。


「話したいことがあって」


「それって、今じゃないとダメ?」


聞かれて、もう時間がないことを思い出した。


「まぁいいや、これから走っても、もう遅刻だろうし」


質問したあとで時間を思い出し、清水くんは諦めた声で呟く。


さっきホームルーム開始3分前のチャイムがなったから、もう始まる頃だろう。


「あの、私……急にキスなんかしてごめんなさい!」


まずはちゃんと謝らないといけない。


深く頭を下げる私に驚いた表情を浮かべる清水くん。
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