極上男子短編集
☆☆☆

声は枯れて細い窓から差し込む光は徐々に弱くなり、やがて倉庫内は暗闇に包まれた。


小さな倉庫内には豆電球すら設置されていなくて、完全な闇が支配していた。


私は倉庫の角でうずくまるようにして座り込み、時間が経つことだけを必死で祈っていた。


とっくの前に洗濯機は止まっていたし、これ以上人が来ることを待っていても意味がないと諦めていた。


後は朝になって教師や事務員さんが出勤してくるのを待つしかない。


夜が近づくに連れて気温はどんどん下がっていき、コンクリートで囲まれた倉庫内はヒヤリと冷たい空気が漂い始めている。


相変わらずホコリっぽし、明日には風邪を引いてしまっているかもしれない。


問時思い浮かんでくるのは選手たちのユニフォームのことだ。


結局干すことができないままだから、洗濯し直すことになるだろう。


明日の部活動までに乾けばいいけれど。


そこまで考えてふと笑ってしまった。


こんな状況でもまだユニフォームの事を気にしている自分がおかしくなったのだ。


「ほんと、どこまで野球が好きなんだろうね」
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