極上男子短編集
小テストといえどゼロ点の答案用紙を見せるわけにはいかない。


しかし私の言葉を聞いた瞬間父親の表情が険しくなった。


睨むような視線をこちらへ向ける。


「今日、仕事帰りに偶然木下さんに会って話を聞いたんだ。ぬきうちの小テストがあって、今日のうちに返却されたって」


桃の名前が出てきて大きくため息を吐き出した。


まさかそこからテストの情報が漏れるとは思っていなかった。


桃はきっと何の気なしに話してしまったのだろう。


悪気がないのはわかっているけれど、今回ばかりは桃を恨まずにはいられない。


「あら、返却されてるの?」


母親も怪訝そうな表情になる。


こうして2人に詰め寄られてしまうと、もう私に逃げ道はない。


素直にゼロ点の答案用紙を見せることになってしまった。


「ゼロってあんた……」


母親が唖然とした声でつぶやき、盛大なため息を吐き出す。


隣の父親もどうしたものかと頭を抱えた。
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