極上男子短編集
「こ、今回はぬきうちだったからできなかっただけだよ。ちゃんとした中間テストとか期末テストなら大丈夫だから」


慌ててそんな言い訳をしても、2人の表情は晴れない。


「いいか摩耶。テストがあるときだけ勉強すればいいってもんじゃないんだぞ?」


父親のごもっともな意見に思わずうつむいた。


「そうよ。毎日ちゃんと勉強できていれば、こんな小テストどうってことなかったでしょう?」


高校は始まったばかりなので、小テストの内容はほとんど中学時代のおさらいだったのだ。


それをすっかり忘れてしまい、ゼロ点なんか取ってしまった。


それは自分自身が一番よく理解しているし、ショックでもあったことだ。


きっと今の私が同じ高校を受験したら落ちていることだろう。


「これからは少しアニメを時間をへらすしかないみたいね」


母親のその言葉にガバッと顔を起こした。


母親はソファに座って足を組み、優雅にコーヒーを飲んでいる。


しかしその目は釣り上がり、口はへの字に歪んでいる。


「そ、それだけはやめて! お願いだから!」


私の唯一の楽しみがアニメなのだ。
< 91 / 190 >

この作品をシェア

pagetop