恋に落ちたら
今日はもう遅くなったから、と家まで送ってくれ、両親にも挨拶してくれた。
遅くなったことを両親に詫びてくれるなんて悟くんの誠実さを感じた。帰った後に両親からも、きちんとした大人になって安心だと言われてしまった。
明日も昼から出かけようと誘われて、私はうなずいてしまった。

部屋に戻ると、私はベッドに深く腰掛けた。
またラナを手にするといつものように胸の奥に溜めていた深く息を吐き出した。

悟くんは悪い人じゃないってことはわかってる。今日だってとても楽しかった。でも悟くんの本心が見えてこない。
本当に私との将来を考えているの？

また息を深く吐き出すとベッドに横になった。
そういえば今日こうして横になり天井を見上げたなぁ。手を繋いでいたことなんてすっかり忘れてて私ったらどうしたんだろう。
後から思い出すとおかしくなってしまった。
手を握ってたことを忘れるなんて不思議……。
ただ、悟くんの手はとても大きくて温かかったことを思い出した。
< 27 / 80 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop