恋に落ちたら
玄関チャイムが聞こえたと思い1階へ降りようとした時、母が対応している声が聞こえてきた。
「みのりー、悟くんが来たわよ」
「はーい」と声を返し、そのまま玄関へと向かった。
「いってらっしゃい」と母の声に見送られ私たちは玄関を出て車に乗り込んだ。
この前と同じ曲がかかっていた。
「今日は何しようか? ショッピングか映画とかどうかなって思ってたんだけど」
「うん。ショッピングがいいなぁ。ぶらぶらしたい」
私は自分の希望も言っていこうと思い希望を伝えると嫌な顔ひとつせず、悟くんは笑ってうなづいてくれた。
「ならショッピングモールにでも行くか。お昼も食べられるし」
「うん」
車はスムーズに国道に出た。
土曜日なので車は多く感じるがそんなにかからず到着しそう、そんなことを考えていたら悟くんの思わぬ言葉に咳き込んでしまった。
「みのりの服可愛いな。みのりはモノトーンじゃなく明るい色が似合うな。顔によく映える」
「え……」
「みのりはかわいい服が似合うなって思ったよ。昔からピンクとかよく着てたよな。レースとかリボンは付いてないけどなんとなく可愛らしい雰囲気の服が多かったよな」
「そ、そうかな?」
「ああ。中学生くらいの頃はたまに見かけるくらいだったけど、その頃もベースはカラフルで柔らかい雰囲気の服が多かったんじゃないか?」
悟くん、覚えてるの?
私はその頃の悟くんの記憶があまりないのに。
「昨日のネイビーも似合ってたよ。仕事のできる女って感じでキリッとした印象だった。大人になったんだなと思ったけど今日の洋服を見て、やっぱりみのりは昔の面影もあってホッとしたよ」
昔の私を覚えていてくれ、しかも今日の服装を受け入れてくれた。散々悩んだけれど自分の好きなものを選んで良かったと思った。でも面と向かって言われると恥ずかしい。こそばゆくなり、ふっと視線を窓の外へ向けてしまった。
そういえば今日の悟くんは昨日とは違ってだいぶラフだ。ブラックデニムにグレーのシャツを羽織っている。
今日もシンプルだけど似合うことをよく分かってるみたい。シンプルだからこそ難しいってこともあるのに彼は難なくこなしてしまう。
「悟くんは明日仕事だよね? 忙しいね」
「病院で働いていると土日休みってことはないからな。でも案外平日休みもいいもんだよ。ただこれからは少し困るけどな」
「どうして?」
「みのりは土日休みだろう?」
あ、そうか。
確かに週末全く時間が合わないこともあるんだ。
「でもできる限り連絡もするし、夜勤明けなら出かけられるから」
「え? 夜勤明けは寝ないとダメじゃないのかな。無理しなくていいよ」
「無理したいんだよ」
そう言われドキッとした。
私のために?
そう思うだけで胸の奥がギュッと締め付けられる感じがした。
「みのりー、悟くんが来たわよ」
「はーい」と声を返し、そのまま玄関へと向かった。
「いってらっしゃい」と母の声に見送られ私たちは玄関を出て車に乗り込んだ。
この前と同じ曲がかかっていた。
「今日は何しようか? ショッピングか映画とかどうかなって思ってたんだけど」
「うん。ショッピングがいいなぁ。ぶらぶらしたい」
私は自分の希望も言っていこうと思い希望を伝えると嫌な顔ひとつせず、悟くんは笑ってうなづいてくれた。
「ならショッピングモールにでも行くか。お昼も食べられるし」
「うん」
車はスムーズに国道に出た。
土曜日なので車は多く感じるがそんなにかからず到着しそう、そんなことを考えていたら悟くんの思わぬ言葉に咳き込んでしまった。
「みのりの服可愛いな。みのりはモノトーンじゃなく明るい色が似合うな。顔によく映える」
「え……」
「みのりはかわいい服が似合うなって思ったよ。昔からピンクとかよく着てたよな。レースとかリボンは付いてないけどなんとなく可愛らしい雰囲気の服が多かったよな」
「そ、そうかな?」
「ああ。中学生くらいの頃はたまに見かけるくらいだったけど、その頃もベースはカラフルで柔らかい雰囲気の服が多かったんじゃないか?」
悟くん、覚えてるの?
私はその頃の悟くんの記憶があまりないのに。
「昨日のネイビーも似合ってたよ。仕事のできる女って感じでキリッとした印象だった。大人になったんだなと思ったけど今日の洋服を見て、やっぱりみのりは昔の面影もあってホッとしたよ」
昔の私を覚えていてくれ、しかも今日の服装を受け入れてくれた。散々悩んだけれど自分の好きなものを選んで良かったと思った。でも面と向かって言われると恥ずかしい。こそばゆくなり、ふっと視線を窓の外へ向けてしまった。
そういえば今日の悟くんは昨日とは違ってだいぶラフだ。ブラックデニムにグレーのシャツを羽織っている。
今日もシンプルだけど似合うことをよく分かってるみたい。シンプルだからこそ難しいってこともあるのに彼は難なくこなしてしまう。
「悟くんは明日仕事だよね? 忙しいね」
「病院で働いていると土日休みってことはないからな。でも案外平日休みもいいもんだよ。ただこれからは少し困るけどな」
「どうして?」
「みのりは土日休みだろう?」
あ、そうか。
確かに週末全く時間が合わないこともあるんだ。
「でもできる限り連絡もするし、夜勤明けなら出かけられるから」
「え? 夜勤明けは寝ないとダメじゃないのかな。無理しなくていいよ」
「無理したいんだよ」
そう言われドキッとした。
私のために?
そう思うだけで胸の奥がギュッと締め付けられる感じがした。