恋に落ちたら
ショッピングモールに着くとさっとまた私の手を取る。
少し慣れたのか私も繋がれた手をそのまま握り返した。

「みのり、慣れてきたね」

「え?」

「良かった」

そう言うと恋人繋ぎに変えてきた。
まるで様子を見ながらステップアップしているみたい。
私にとってはお試しとはいえ初めて付き合ったことを配慮してくれているのだろうけど、私のドキドキは半端ない。
手の繋ぎ方一つでこんなに揺さぶられるなんて、もっと進んだらどうなるのだろう。
この先なんてあるかわからないのにふとそんなことが脳裏をよぎった。

悟くんとぶらぶら散策して歩き、欲しかったピアスを買ってもらった。
夏らしいアクアマリンの小ぶりなもので仕事にも支障をきたさないようなさりげないもの。

「ありがとうございます」

「どういたしまして」

私はせっかくなので早速付けさせてもらうと洋服の色を邪魔しないさりげない感じで涼しそうに見えた。

「うん、似合うよ」

そう言われ嬉しくなった。

悟くんはいつも私の欲しい言葉をくれるのだと思った。
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