恋に落ちたら
火曜日になり、今日はこの前のタオルの男の子と会う予定。
絶対に残業はできない。昨日みたいなことにならないよう気を引き締めた。何せ彼の名前はおろか、連絡先ひとつ知らないのだからコンタクトの取りようがない。
昨日の挽回をすべく、営業のとってきた発注を取りまとめ、それぞれ調剤薬局への手配をすませた。
17時半の定時になり無事に終わらせることができホッとした。
荷物をまとめると私は慌てて周囲に挨拶をし、会社を飛び出した。
ちゃんと彼がわかるか少し心配になる。あの日の記憶が少し曖昧になっていて、顔を完璧には思い出せない。

約束の18時少し前にこの前の駅の改札に着いた。
改札を出たところの柱の前で目立つように立っていると、あの日と同じ大きなスポーツバッグを持った男の人が近づいてきた。
あ、あの人だ……。
思い出せるか不安だったがいざ目の前にいると不思議の思い出すことが出来た。

「お姉さん、こんばんは」

彼も私のことを見てすぐに気がついてくれたらしい。近づいてきて声をかけてくれた。

「こんばんは。この前は本当にありがとうございました」

「いえいえ。俺の方こそ助けられましたから」

彼は苦笑いしながら頭をかく。綺麗な顔立ちをしているが、こうしてみると私よりも年下な印象を受ける。まるで弟のようでなんだか可愛らしい。
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