相思相愛・夫婦の日常~はる♡もも編~
永遠と百枝
◯◯大学の中庭━━━━━━


「なぁ、頼むよ~永遠~」
喫煙所(大学内は基本的に禁煙なので、中庭の隠れ喫煙所)で煙草を吸っている永遠に、親友・諸星(もろぼし) 晋作(しんさく)押見(おしみ) 冬樹(ふゆき)が必死に手を合わせ、懇願している。

「嫌」
煙草の煙を空に向かって吐いて、首を横に振る永遠。

晋作と冬樹に、女性グループと食事に付き合ってくれと頼まれていた。

「そこをなんとか!」
「だいたい俺、既婚者だし」
「だから!既婚者だろうが、彼女持ちだろうがいいんだよ!」
首を横に振る永遠に、土下座する勢いで懇願する二人。

「は?」

「永遠を連れていくって約束したんだよ!」
晋作と冬樹は、必死に説得する。

「勝手に約束すんな!それに、ももちゃんが知ったら傷つくし」
「ちょっと顔出すだけでいいから!
な?ダチを助けると思ってさ!」

「………」

「永遠~」
「頼むよぉ~」

「………顔出すだけ」
ため息をつき、呟く永遠。

「「え?」」

「ほんとに、顔出すだけだから」

「サンキュ!!」
「さすが、永遠!!」

「うわっ!?抱きつくな!!キモい!!」
抱きついてくる晋作と冬樹に、鬱陶しそうに押し返す永遠だった。


それから、講義が終わり一度スマホを確認する永遠。
百枝からメッセージが入っていた。
『講義お疲れ様(^^)
今日、市子(いちこ)ちゃんに食事に誘われたんだけど、行ってきてもいいかな?』

「食事?市子……って、確か…あ、大学ん時の友達か!」
そう呟いた永遠は、百枝に電話をかけた。

『もしもし?』
「あ、ももちゃん?今、メッセージ見たよ。
行くのは構わないけど、何処で食べるか教えて?
あと、メンバーは市子さんだけ?
あと、あんま遅くならないって約束して?
ご飯食べたら、すぐに帰ること!
もちろん迎えに行くから、終わったら連絡必須だよ」

立て続けに質問をされ、百枝は動揺する。
『え、えーと……場所は駅ビルのイタ飯で、メンバーは市子ちゃんと沙也(さや)ちゃんだよ』

「わかった。ご飯食べたら、すぐに連絡ちょうだい!
あと、男に話しかけられたら“無視”だよ!
教えたように、聞こえない振りするんだよ!」
『わかった。また連絡するね!』

ふぅーと息をついた永遠。
とにかく、百枝を愛してやまない永遠。
百枝を溺愛し、過保護で心配性。

永遠と百枝は、10歳差があり永遠の方が年下。
だがそれは歳だけで、実際には真逆の関係である。

それくらい永遠はしっかりしたハイスペな男で、百枝は少々永遠に依存気味の、控え目でお人好しのおっとりした女性である。
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