相思相愛・夫婦の日常~はる♡もも編~
「良かったですね。あと残り、二個でしたよ!」

「良かったぁー!でも、二個も残ってたんですね!
正直、とっくに売り切れてると思ってたので……」

店員の情報によると、今回のイベントは予告はなしで、当日の午後12時に一斉にネットのみで情報をながしたらしいのだ。
だから比較的、売れ筋はゆっくりだったそうだ。

「では、クッションとタオルですね」
「ありがとうございます!」
「彼氏さん、喜びますね!」
「はい!あ、彼氏ではなく、旦那さんです////」
「あ!そうなんだ!おめでとうございます!」

ここのコンビニの店員(女性) とはマンションが近いのもあり、顔見知りでよく話しかけてくれるのだ。

百枝は、クッションとタオルの入ったエコバッグをぶら下げコンビニを出た。

コンビニを出てすぐ、お約束のようにナンパをされる百枝。

「━━━━━俺達、いい店知ってんだ!」
「行こうよぉ~」

「わ、私…急いでいるので……!」
すり抜けて行こうとするが、あっという間に立ちはだかれる。

「はい、捕まれた!」
肩を抱かれ、捕まえられた。

「ちょっ…離してください!!」
(や、やだ…怖い……)

「そんな、怖がんなくても取って食ったりしないからさ!」
「行こ?」

(ほんとにやだ…!!はるくん、助けて!!)
肩を抱かれたまま、連れていかれようとしていた。

「その子、嫌がってんじゃん!やめてあげてよ!」

「は?」
「え?見てわかんない?
その子、嫌がって、怖がってる。
よく見ると、震えてるよ?
離しなよ!」

通りがかりの男が、百枝の肩を抱いている男の手を掴んだ。

「つか、いてぇよ…!!?離せよ!!」
「君が、彼女の手を離したら離すよ。ほら、離しなよ!」
「わかった!わかったから!」

百枝から手を離した男は、助けてくれた男の胸ぐらを掴み凄んだ。

「てめぇ、何なの!?」
「俺が嫌いなだけ!嫌がってる人に無理矢理嫌なことをさせるのが」

「何?殺んの?」

「殺んないよ。俺はできる限り、手は出さない」

「は?ふざけてんじゃねぇよ!!?」
男が拳を振り上げ、百枝は思わず目をギュッと強く瞑る。

パシッと乾いた音がして、恐る恐る目を開けると……ギリギリでその拳を受け止めていた。

「あ、言ってなかった。
手は出さないってのは“自分から”だよ。
攻撃されたら、仕返しはするよ?
君、一発お返しね!」

そこまで言うと、相手の頬に向かって一発殴った。
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