相思相愛・夫婦の日常~はる♡もも編~
「なんで……」
漸く永遠が落ち着き、聖愛は永遠に向き直り言った。

晋作が理由を説明する。

「お前等三頭軍は、だから極悪人なんだよ!?
こんなの……百枝ちゃんが知ったら……!」
聖愛の顔が苦痛に歪む。

「言うなよ」

「は?」

「ももちゃんには言うなよ」

「…………永遠…」

「言ったら、お前を殺すぞ」
永遠の鋭い瞳。
それは、本気度を表していた。

「………言わない。
いや……言えるわけない。こんな残酷なの……」


「はぁー、久しぶりに殺ったなぁー」
そう言って、煙草の煙を廃墟の天井に吐いた。

永遠は、清々しい表情をしていた。

「永遠は、ほんと……魔王だな……」
聖愛がぼそっと呟いた。

「は?」
「なんで、そんな清々しい表情できんの?」
「だって……」
無表情で、聖愛に向き直る。

「ももちゃんを傷つけるモノは全て、俺の世界に必要ないから」

「永遠…」
「俺は生まれた時から、周りとレベルが違う。
だから俺は、一生一人だと思って生きてきた。
晋作と冬樹は、そんな俺の親友ってゆう心の拠り所になってくれた。
だから二人の為なら、多少のことはする。
でも正直、俺の全てをかけるに値しない。
そんな時に、ももちゃんに出逢った。
ももちゃんの為なら、俺の全てを捧げても全く惜しくない。いくらでも、最低になってやる。
だからももちゃんを傷つけるモノは、この俺が許さない。
相手が誰であっても、この世から消してやる」

「聖愛、永遠に情を教えてもわからない」
晋作が言う。
「え?」

「俺達も、散々話してきた。
でも、わからないんだ。永遠には」
冬樹も切なく顔を歪ませ言った。

「だから俺達はできる限り、永遠に手を出させない」
「それで、さっき冬樹は煙草を?」
「あぁ、そうだよ」
「煙草を吸ってる間は、永遠が落ち着いていられるから」

「そうか……」
聖愛は静かに呟くと、項垂れるように頭を下げた。


それから永遠は一度マンションに戻り、シャワーを浴びて百枝を迎えにデパートに向かった。

ショップのガラス越しに、百枝を見つめる。

服の整理をしていた百枝は、永遠に気づくと小さく手を振り微笑んだ。

永遠も微笑み、振り返す。
「可愛い…可愛いなぁ……」

百枝の笑顔を見る。
それだけで、永遠は生きていると感じることができる。

百枝が永遠に、命を与えるのだ。
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