独占欲を秘めた御曹司が政略妻を再び愛に堕とすまで
◇◇

結婚して半年が過ぎた頃。

名古屋に新規開業する新ホテルの企画会議で、晴臣は瀬尾恭司(せおきょうじ)と再会した。

彼は晴臣の同期入社の同僚で、現在はホテル事業統括企画課の課長を務めているなかなか優秀な社員だ。

しかし晴臣との折り合いはあまりよくなかった。どうにも気が合わないのだ。

とは言っても表面上は問題なく付き合っている。

「晴臣、久しぶりだな。やっぱりお前もこのプロジェクトに入ったのか」

瀬尾と会うのは二年ぶりだが、彼は時間を感じさせないような屈託ない態度で声をかけて来た。

「ああ。これから関わる機会が増えそうだな」

「そうだな。久しぶりに晴臣と仕事が出来て嬉しいよ」

瀬尾はまるで旧友に会ったかのように、晴臣の肩に腕を回して来た。

社内での地位は晴臣が部長で、瀬尾が課長と上下関係があるのにそんなことは気にしないらしい。

確かに新入社員研修の時に、経営者の息子だからと特別扱いしないで欲しいと伝えたが、未だに新人のようなのりはどうなのだろうか。

内心そんな考えを浮かべながら、晴臣はさり気なく瀬尾の腕を自分の肩から外した。
< 18 / 108 >

この作品をシェア

pagetop