独占欲を秘めた御曹司が政略妻を再び愛に堕とすまで
「もったいぶるなよ。披露宴だって招待してくれないし、冷たいんじゃないか?」

不満さを隠さずぶつけられて、晴臣は内心溜息を吐いた。

「そんなつもりはなかったんだけどな。披露宴は人数の関係もあって同僚は呼ばなかったんだ」

「ふーん、まあいいけど。じゃあ近い内スケジュール開けておいてくれよ。仕事のことも話したいし」

「そうだな」

社交辞令でそう応えたが、その後は仕事に忙殺されて、彼と飲みに行く時間かなかなか確保出来なかった。

いや、実際作ることは出来るのだが、仕事を早く切り上げるのなら帰宅して瑠衣と過ごしたいから後回しになっていた。

しかしある日瀬尾からどうしても用があると呼び出された為、妻の元へ帰りたい気持ちを抑えて指定された、バーに向かった。

瀬尾は先に到着しており早くもビールを飲んでいた。晴臣に気付くと機嫌が良いのか満面の笑顔になり、手招きしてくる。

「晴臣こっち。悪かったな急に呼び出して」

「大丈夫だ。それで急ぎの話しって?」

来た途端に本題に入った晴臣に、瀬尾は苦笑いになる。

「随分せっかちだな。とりあえず何か頼めよ」
「同じものでいい」

勿体ぶる態度が気に障ったが、晴臣は顔に出さずに返事をした。
< 20 / 108 >

この作品をシェア

pagetop