独占欲を秘めた御曹司が政略妻を再び愛に堕とすまで
瀬尾は気持ち悪いくらい上機嫌だった。対して晴臣の機嫌は最悪だ。

(呼び捨てにしやがって。いくら元カノでも今は俺の妻だぞ)

「でもさ見合いって聞いたけど、瑠衣の家と結婚してうちの会社にメリットってあるか?」

「家同士で繋がりがあるんだよ」

「ふーん、上流しか分からない関係ってやつ?」

晴臣の返事が気に入らなかったのか、瀬尾は鼻を鳴らす。

「話って、瑠衣の件だったのか?」

「え? あ、ああ……そうそう。こういうのって後でバレると揉める原因になるだろ? 事前に伝えた方がいいと思ってさ。変な誤解されたくないからな」

「そうか……誤解はしないから大丈夫だ」

グラスを傾け一気に煽る。
不快感で今すぐ席を立ってしまいたいくらいだった。

(瑠衣と瀬尾が付き合ってたなんて、本当なのか?)

瑠衣の昔の恋愛については、聞いたことがなかった。
ただ彼女の言動から、それ程付き合った経験はないだろうと推測していた。

その読みは恐らく間違っていない。
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