独占欲を秘めた御曹司が政略妻を再び愛に堕とすまで
しかしそんな無責任なことが出来るはずない。

晴臣はタブレットを受け取るのと同時に、部下に指示を出し始めた。



トラブル対応をしつつ、ハワード氏の相手をしてと忙しい夜を過ごし、翌日は通常勤務。

会議と来客が予定されていた為、結局夕方まで体が空かなかった。

夕方五時過ぎにようやく退社出来たが、帰宅したら瑠衣は不在だった。

顔を合わせたらすぐに昨夜のことを謝ろうと思っていたのに。

昨夜仕事で帰れないと連絡はしたが、とにかく時間がなかったから詳しい話は出来なかった。

特別な日に不在にするなんて瑠衣はどう思っただろうと心配だった。

「そう言えば、瑠衣は今日出勤だったな」

これまでは晴臣の帰宅を必ず瑠衣が出迎えてくれていたせいか、一人きりの空間に居心地の悪さを感じた。

スーツから楽な服に着替えて待っていると、六時半になって瑠衣が帰って来た。

彼女は自分より先に家に居た晴臣に驚いた様子だったけれど、相変わらず優しい笑顔をみせてくれた。

「昨夜は悪かったな」

とにかく謝ろうと頭を下げると、瑠衣は再び驚きを見せた。

「え?」
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