独占欲を秘めた御曹司が政略妻を再び愛に堕とすまで
記念日に急な外泊。本当に瑠衣と状況が似ている。

「そ、それで、その友達はどうなったの?」

まさか離婚してしまったのでは? 心臓がドキドキして来た。

「散々罵倒したあと、仕方なく許したって。誕生日はやり直しさせるって言ってた」

「そう……」

離婚はしなかったと聞いてほっとしている自分に戸惑った。

(何で自分に当てはめてるのよ)

晴臣は飲みに行ったのではなくて、仕事で帰宅出来なかった。那々の友人と瑠衣では状況が違う。

(仕事の内容だっていつになく凄く詳しく話してくれたし……いつになく?)

そうだ。あの時彼の言動が普段とどこか違うと感じたのだ。

いつもはこちらから聞かないと、仕事の細かいところまでは話さない彼が、やけに詳細に説明してくれて……しかも瑠衣が言葉を挟めないくらい饒舌だった。

「那々、どうしたの? なんか顔色悪いけど」

「い、いえ、なんでもない。大丈夫だよ」

「そう? あ、瑠衣さ明後日の木曜出勤出来ない? 現場入るんだけどパートナーがいなくて」

瑠衣は基本的には月火金を出勤日とする契約をしているが、仕事のスケジュールによって調整することが時々ある。

胸に生まれた不安は一旦置いて、頭を仕事に切り替えスケジュールアプリを起動した。
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