独占欲を秘めた御曹司が政略妻を再び愛に堕とすまで
そんな不満が顔に出てしまったのだろうか。晴臣が戸惑いを見せる。

「彼女が気になるのか?」

(気になるって、当たり前じゃない!)

そう責めたい気持ちをぐっと堪えた。

「昨夜も彼女から電話があったのを見たから」

「ああ、そう言えば。折り返さなかったから電話をして来たのかもな。明日にでも連絡しておくよ」

平然とそんなことを言う夫に、瑠衣は眉を顰めた。

(全然悪びれてない)

「あの、彼女とはプライベートでも関係があるんでしょう? だってただの取引先の社員だったら夜中に電話して来るはずがないもの。そんな失礼な真似普通は出来ないと思う」

感情的になるのを抑えようと意識しているからか、やけに冷ややかな声になった。

晴臣が驚くくらいに。

「待ってくれ。もしかして誤解してるのか? 彼女とはやましい関係じゃないんだ」

「それならどうしてプライベートに踏み込んでくるような行動をするの? 晴臣さんが注意をしないのはどうして?」

浮気は追及出来ないと思っていたのに、思いがけず話し合うことになっていた。

舟木美帆からの着信を見たら、不安がこみ上げて冷静さを保てなくなったのだ。

(感情的になったら駄目なのに)
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